セバスちゃん?

 カトリックの洗礼を受ける時には、洗礼名として聖人の名前をつけることになっています。カトリックの家庭に生まれると、誕生の数週間から数か月後に洗礼を受けるのが一般的です。これを「幼児洗礼」といいます。両親の信仰を受け継いでほしいという思いが込められています。2000年前の初期教会では、キリスト教徒であるということが分かると逮捕されたり処刑される危険性がありましたから、大人になって自らの意志で洗礼を受けることが普通でした。しかし4世紀になり、キリスト教が公に認められローマ帝国の国教になると、逆にキリスト教徒であることが生きて行く上で都合が良い社会となりました。もちろん純粋に信仰を守りたいと思った人もいましたが、ローマ市民の中には信仰とは別の理由で洗礼を受ける人も出てきました。幼児の死亡率も高い時代でしたから、生まれるとなるべく早く洗礼を授けるという習慣が生まれたのもこの頃です。私の故郷にある教会の洗礼台帳には私が生まれて一週間ほどで洗礼を受けたこと、洗礼名はヨゼフ、代父(信仰上の父で洗礼を受ける時の保証人)を務めてくれた方の洗礼名を受け継いだことが記されています。今日の1月20日は聖セバスチアーノ殉教者の記念日です。私の亡くなった父の洗礼名でした。100年以上前の長崎の神父様は、洗礼台帳に聖セバスチャンと記し、父にも「お前の洗礼名はセバスチャンだぞ」と教えてくれました。日本ではそれほど馴染みのある聖人ではありません。父は名前だけを憶え、どの様な聖人だったかはほとんど知りませんでした。そんな父から時々聞いた聖人名を、幼い私は「セバスちゃん」と言うかわいい男の子だと勝手に思い込んでいました。父が亡くなる時、聖セバスチアーノ殉教者のことを調べてびっくり、何十本もの矢で貫かれた殉教者の絵ばかりでした。初期のキリスト教会で、信仰を守るために自らの命を捧げた「セバスちゃん」に祈りを捧げます。

2017年1月20日(金)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸

ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「聖イレーヌに解放される聖セバスチアーノ」等多くの絵があります。興味ある人は図書館で知らべてみましょう。

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