神様からの贈り物
五島列島の福江島にカトリック半泊教会があります。昨日の日誌に載せた堂崎天主堂から車で30分ほどのところにあります。車一台がやっと通れるような狭い道をドキドキしながら尋ねました。遠い昔、信仰の自由を求めて大村藩から必死の思いでたどり着いた小さな村は、半分の信者しか留まることができない狭い入り江だったことから、半泊という地名になったそうです。今では5世帯、カトリックの信徒は80歳代のおばあちゃんが一人だけの教会です。
そんな教会のすぐ隣に3年前、麒麟のマークがついた大手酒造メーカーのブレンダー3人が、五島つばき蒸留所を立ち上げました。教会の横に造ることを地元の神父様にお願いに行ったところ、教会のお世話をしてくれることを条件に許してくれたそうです。蒸留所が完成するまでの数か月間、3人は古くなっていた教会の修復に取り掛かります。何十年間も使われて痛んだ床ワックスをすべて剥がし、蜜蝋で磨き上げ、ひびが入っていたブロック塀を取り壊して、五島の鉱山からいただいてきた石で、立派な石塀を作りました。美しい海に向かって立つ教会と、悲しい迫害の歴史の中で信仰を守ってきた半泊の景色の中で、ここでしか作れないお酒を造りたいと決めたそうです。2022年に献堂100年を迎えた半泊教会。たった一人の信徒であるお婆ちゃん、「100年目の神さまからの贈り物」として3人の挑戦を喜んでくれているそうです。巡回教会のため、月に一度しかミサはありませんが、3人も毎回ミサに参加されているそうです。
2025年8月5日(火) 校長 清水勝幸
教会の前に広がる半泊の海。この日は山梨の小学生がキャンプに来ていました。
教会の入り口です。門の横から延びる石塀は3人が積み上げたもの。最初の30分だけ、石積のレクチャーを受けたそうです。
100年を過ぎた板張りの床は、何とも言えない美しさを見せてくれています。(許可をいただいて一枚)
ドイツ製の蒸留器。商品のいのちとなるもの、情熱が伝わります。
この日は、3人のうちの一人がお休みでした。右端の女性は今年の春から仲間に。とにかく楽しそうに話してくれました。ありがとうございました。教会もよろしくお願いします。
カテゴリ: 校長日誌|投稿時刻:2025年8月 5日